梅春

 

今日から3月です。

 

暖かい日に庭の椿(ベニボクハン)が咲き、なんとなく春の気配を感じてきました。

 

私には毎年、この暖かかったり寒かったりする時期に必ず行きたくなる場所があります。

 

そう、「寺」です。 

 

張りつめた空気、冷たい床、少ない見仏人、今こそ私的見仏ベストシーズンです。

 

何度も見たくなるような素晴らしい御姿は各地に数多ありますが、

 

六波羅蜜寺の「空也上人像」と浄土寺の「阿弥陀三尊立像」はこの時期特に見たくなります。

 

「空也上人像」は念仏を唱えながら祈り、歩く迫真の御姿、特にわらじ履きの足元が、

 

「阿弥陀三尊立像」は後ろから光を受けた瞬間、まさに今この地に舞い降りたような

 

息を呑む圧巻の三尊の存在感が、たまりません。

 

二つは大きさも派手さも真逆だけれど、なんだか見ているといろんなことが

 

腑に落ちて抜けていく感覚を受ける佇まいはとても似ていると思います。

 

出来ることなら際限なくその正面前を陣取り、気の済むまで眺めていたいものですから

 

気兼ねなく眺めていられるチャンスに恵まれやすいこの時期は本当にベストシーズンです。

 

ただ難点もあり、靴を脱いで拝観していると20分くらいで足の感覚が無くなってきて、

 

寒さに意識が向き出すと、おもむろに出ている柱や段差で足の小指を強打したりします。

 

そんな時に限って感覚が無いはずなのに何故かしっかり痛いのです。

 

でも仕方がありません、御姿よりも寒さに気を取られた罰なのです。

 

それに1時間もすれば全身に冷えがまわり、足元はさほど気にならなくなります。

 

あと、意識が俗世間に戻った瞬間、襲いくる悪寒に集中して見過ぎたことを後悔し、

 

冷えきって思うように動かない身体を引きずるように帰らねばならない、

 

そしてだいたい帰ってから2、3日は調子が悪い、小指も痛い、

 

といったおまけが必ずついてきます… 必ず。

 

でもその不調を抜けたら、やってくる春がより一層ありがたく感じられますよ。

 

どうです? 行きたくなったでしょう。